「鐘を鳴らしたい。」
という息子と、赤レンガ倉庫へ。
恋人たちの列に並んで、『幸せの鐘』を鳴らす息子。
が。
思う存分鳴らしたいのに、次から次へと恋人たち、観光客がやってくる。
なかなかゆっくり鳴らせない。
欲求不満気味の息子が不憫になり、アジアン雑貨のお店へ移動。
ここは息子が幼児だったころ、巨大な鐘を買ったお店。
それを思い出した息子、意気揚々と店内へ入る。
さっそく良い感じの鐘を発見。
値段を見ると
「ヒッ!」
なかなかのお値段。
怖気付く私を見た息子、
「違うのにする?」
と気を使う。
(そうだね! そっちのお手頃な値段の鐘にすれば、2個買えるよ!)
と言いそうになり、慌てて言葉を呑む。
一呼吸おいて
「1番欲しいのはどれ? これが買えたら、他のものはいらない! って言える物はどれ?」
と聞く。
「これ。」
1番お高い鐘を選ぶ息子。
(この子、私が怖気付いたから、「違うのにする?」って聞いてきたな。)
(人の顔色を気にしてる?)
(自分の気持ちを我慢して、他人の顔色を優先する子になったらかわいそうだな。)
我が身を振り返り、そんな考えが浮かぶ。
「自分の物なんだから、自分が1番いいと思った物を選んでいいんだよ。」
と息子に促す。
「やったー! じゃあこれ!」
1番お高い鐘を手に取ってレジへ。
「ママありがとう!」
「ママ大好き!」
大喜びする息子。
家に帰る前に、何度も鐘を取り出し、カーンと鳴らす。
(瞑想に使う鐘らしく、お寺のような、落ち着く音がする)
鐘を鳴らしている息子の顔は、ずっとニコニコ。
懐は寂しくなったけど、
(好きなものは妥協しちゃいけない。)
と思った今日この頃。
カーン。
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