「今日は誕生日! 値段を気にせずケーキを買おう!」
と、ケーキ屋さんに向かう。
チョコレートケーキ、ニューヨークチーズケーキ、シュークリーム。
誕生日とは思えぬほど、地味なラインナップ。
ちょっと豪華に見せようと、金の縁取りのある大皿に並べる。

(……地味。変化無し。)
(ま、これでもいいか。)
とテーブルに出したら、息子が
「ちょっと待ってて!」
と、おやつボックスをガサゴソ。
カラフルなグミを、ケーキの周りにトッピング。
さらに
「おしゃれな葉っぱ無い?」
と聞くので
「おしゃれな葉っぱ?! ハーブってこと?」
「そう!」
「無いわー。」
「じゃあ、仕方ないね。」
と、今度は食器棚をガサゴソ。
「お茶、どれで飲む? 花柄のコップ? 水玉のコップ? ガラスのコップ?」
「じゃあ、花柄で……。」
MINTON のカップ&ソーサーに、黒豆茶を注いでくれる。
「じゃあ、お誕生日やるよ!」
と、キャンドル型のライトをセットして、電気を消す。
「ハッピーバースデートゥーユー♪ ハッピーバースデートゥーユー♪ ハッピーバースデーディアママー♪ ハッピーバースデートゥーユー♪」
熱唱して、蝋燭を消すように、キャンドル型ライトを消す。
「お誕生日おめでとうー!」
息子のおかげで、地味なケーキがあっという間に華やかに。
いつも通りの平日で、お祝い感がぜんぜんなかった一日が、誕生日らしい日に。
(テーブルセッティングって、大事なんだなぁ……)
と感心しつつ、息子に
「ありがとう!」
と感謝した誕生日。

ちょっと華やかに。
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