バスで1番後ろの席に座った。
隣に高齢の女性が来た。
両手に大荷物。
手に持っていた荷物を、座席の後ろにポイポイ置く。

「荷物が多くてごめんなさいね。」
「後ろに置かせてもらうわね。」 
「狭くなっちゃってごめんなさいね。」
と矢継ぎ早に言う。

私の横は息子なので、つめても余裕はある。

「大丈夫ですよ〜。」
と女性に言う。

その後、
「あら! そろそろ降りなきゃ!」
「荷物まとめなきゃね!」
と女性。

ゴソゴソと手荷物をまとめ始める。

座席の後ろを見ると、先ほどポイポイ載せた荷物がとっ散らかっている。

(大変そうだな……)
と思い、とっ散らかった荷物を集めて女性に渡す。

すると
「まぁっ! あなた優しいのね!」
「よく見たらお顔も綺麗じゃない!」
「あなた、心だけじゃなくお顔も綺麗!」
「お世辞じゃないわよ! 私、嘘はつかないから!」
「あなたは心もお顔も綺麗!」
「坊ちゃんもおとなしくて、優しいお顔で、いい子ね!」
と、ベタ褒めして降りていった。

(嵐のような人だなぁ……)

放心状態になっていると
「ママ、褒められてなかった?」
と息子。

「そうそう! ママ、心とお顔が綺麗って褒められちゃった!」
とドヤ顔してみる。

すると
「心は綺麗だけど……。」
と、言い淀む息子。

「お顔は?」
「お顔は……。アレ……。」
と目を逸らす。

ーお顔はアレ?!?!?!?!

「アレってどう言うことよ?!」
「シワとかあるから……。」

キィィィッッッ!

子どもは正直。

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高齢の女性、老眼説。