スーパーで、芽が出た玉ねぎが並んでいた。

1個だけ、モヒカンのように芽が伸びてて、かわいい。

「毛が伸びてるみたいでかわいいねぇ。」
と息子に言ったら、
「欲しい!」
と返ってきた。

「ええっ! 玉ねぎ、家にあるし。芽が出た玉ねぎはいらないよ。」
と言うと
「欲しい! 育てたい!」
と言う。

あぁ、なるほど。育てるのね。
あなた、育てるの大好きだもんね。

仕方ないので、レジに持っていく。

店員さんが慌てて
「芽が出てるので、新しいのとお取り返しますね!」
と言うので、
「いいんです〜。この芽が出たのが欲しいんですって。」
と息子の方を見る。

「えっ? いいんですか?!」
ポカンとしつつ、私と息子を見やる店員さん。

スーパーを出て、
「かわいいなぁ。」
と玉ねぎを袋から出す息子。

両手で包むように玉ねぎを持つ。

「この子は、玉ねぎちゃんって名前にする。」
と宣言。

そのまんま!
でも、玉ねぎに名前をつける人も珍しい。
まいっか。

あの店員さん、キョトンとしてたな。
と、思い出して笑えてくる。

以前、別の店員さんに
「この前のホッキ貝、美味しかった?」
と聞かれて、
「あ、あれ、育ててるんです……。」
と言ったら
「えええーーーっ!!!」
とめっちゃ驚かれた。

以来、その店員さんに会うと
「ホッキ貝どう? 元気?」
と話しかけられる。

もしかしたら、今日レジを打った人も
(あの親子、芽が出た玉ねぎ、育てるって買って行ったよ……。)
と思ってるかもしれない。

あのスーパーで、
『貝や玉ねぎを買って、食べずに育ててる親子がいる』
と、噂されてたらどうしよう。

まぁ、それはそれでいいか。
珍しい貝や芽が出た野菜があったら、教えてもらえるかもしれないし。

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紫玉ねぎの、玉ねぎちゃん。