昨日行った『ソルソファーム』で、イチジクの苗木を買った。
実がひとつだけなっていて
「熟したら食べられるね!」
と、息子が即決した苗木だった。
持参した袋から枝が飛び出してしまい、
「気をつけないと、実がとれちゃうね。」
と言っていた矢先。
バスを降りて、袋を腕にかけて歩いていたら。
いつの間にか、実がとれてなくなっていた。
「ウソでしょ?! ないんだけど?!」
人がごった返す駅前で、慌てはじめる私。
「さっきまでついてたのに! どこで取れちゃったの?!」
咄嗟に、
(息子が泣いて怒りだすかも!)
(人ごみの中で、騒ぎ出したらどうしよう!)
(また買ってって言いだすかも?!)
と、警戒したら……。
「探そう!」
と、息子が来た道を戻り出した。
(あれ? 怒らないの?)
意外に思いつつ、息子の後をついていく。
「あった!」
と、道に落ちているイチジクを見つけ、すかさず拾って戻る息子。
「イチジクあったよ。よかったね。」
と、両手に包むようにイチジクを持っている。
「でも取れちゃったね……。せっかく実がなってるのを買ったのに……。」
と、落ち込む私。
「取れちゃったけど、かわいそうだから、焼いて食べよう。」
と息子。
「え? 食べるの?」
「うん。毒とかないでしょ?」
「毒はないと思うけど……。」
「せっかく実がなったのに、捨てたらかわいそうだから、焼いて食べよう。」
「熟してない青いバナナを、焼いて食べる感じ?」
「そう!」
そんなわけで。
落ちてしまった青いイチジクの実は、
翌朝、オリーブオイルとニンニクで焼かれ、私たちの胃袋に収まった。
肝心の味は……。
「美味しくない! 味がしない! 皮がちょっと苦い!」
だった。
ただの棒になってしまった苗木を見て、
「また実がなる?」
と息子。
「冬芽があるから、春になったら、また葉っぱが出てくるよ。うまくいったら、夏か秋に実がなると思う。」
と私。
「やったー!」
喜ぶ息子を見ながら、
(イチジクの実が取れた時、よく癇癪を起こさなかったなぁ。)
(私が慌てたから、逆に冷静になったのかな?)
(すごいな……。成長してるな……。)
と、感慨深いものがあった。

大人って、なかなか成長しないけど。子どもはどんどん成長する。
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