昇降口のところで、
「運動会の練習が嫌だ。」
と泣いてしゃがみ込んでいる男の子。

「でもエライじゃん! 嫌なのに、ここまで頑張ってきたんでしょ?」
と声をかける保健室の先生。

(あぁ。わかるよ。うちの子もそうだよ。運動会の練習、嫌だよねぇ。)
と心の中で声をかける私。

息子も毎朝
「今日、運動会の練習ある? 嫌だ! 運動会嫌い! 学校行かない!」
と言っている。

保育園の頃からそうだった。

とにかく、
『好きでもないダンス』と『好きでもない駆けっこ』
を、みんなと一緒にやらされるのが、ぜんぜん楽しくないらしい。

(そうだよねぇ。好きでもないことをやらされるって、ぜんぜん楽しくないよねぇ……。)

それに加え、
聴覚過敏で、鳴り響く音楽や歓声が苦手だから、
『運動会=恐怖の場』
に近い。

小学生になって、聴覚過敏もだいぶ穏やかになったし、
歓声禁止の運動会になったから、
『運動会=恐怖の場』
ではなくなったけど。

「運動会って、楽しいの?」
「なんでするの?」
と、いつも聞いてくる。

私も
(運動会って、好きな人には好きだけど、嫌いな人には嫌いな行事だよね……。)
(なんでするんだろう?)
と思ってしまうので、うまく説明できない。

「運動会って、『ダンスも駆けっこも練習がんばったよ〜! みんな見て見て〜!』 って、お披露目する場なんじゃない?」
「保護者も、自分の子どもががんばっている姿を見たいだろうし。」
と答えたら……。

「運動会って、がんばってる子どもを見て、大人が楽しむためにあるんじゃない?」
と息子に言われた。

おお。確かに!!!

誰よりも運動会を楽しみにして、いちばん盛り上がっているのは、保護者だもんな。

FullSizeRender
ダンスを踊る貝。