『運がなかった。』p,9
『死にたいというよりも、努力することに、疲れた。』p,56



主人公の言葉に表れているように、
重く、悲しい物語だった。




上野恩賜公園のホームレスは、
集団就職や出稼ぎで来た東北出身者が多いこと。

主人公も、東京オリンピック(1964年)の競技場建設のために、福島から出稼ぎに来たこと。

家族のために10代から働き続けたのに、
定年を迎えるころには家族を失ったこと。

皇室の方が美術館や博物館に来るたび、「山狩り」という名の特殊清掃で、住む場所を追われるホームレスたちのこと。

ホームレスの人たちも、最初は家族のために働いていたこと。
家族を失ったから、ホームレスになったこと。


努力して、家族のために努力して、
それなのに家族を失った主人公。

最後は津波までもが、残された家族を奪っていく。

そして世間は、2回目の東京オリンピック(2021年)をやろうとしていて……。
福島は……。


この物語について、考えれば考えるほど、深みにはまっていく。

希望はない。
正解はない。

ただ、貧しささえなければ……。
貧しささえなければ、もっと"幸せ"が、主人公にもあったんじゃないかと思う。

悲しい。


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上野恩賜公園にスタバやお洒落カフェができて、お洒落好きな人たちが列をなしているのを見たときは、ビックリしたなぁ。