耳鼻科の待合室に現れた、オシャレなお母さん。
スラっと長身で、美人で、とってもオシャレ。
今どきのファッションをした、若いお母さん。
続けて、そのお母さんの子どもが入ってきた。
「ん?」
待合室の他のお母さんたちが、いっせいにその子を見る。
ガン見ではなく、チラ見で。
そして何事もなかったように、目線を我が子にズラす。
オシャレなお母さんが連れてた子は、パッと見でわかる、障害のある子どもだった。
若くて、綺麗で、オシャレなお母さんと、
障害がある子どものギャップが、すごく目を引いた。
待合室で、いっせいに視線を集め、いっせいに目を逸らされる感じ。
お母さんは感じてたのか、感じてなかったのか。
サバサバと受付を済ませ、サラッと席につく。
友だちと会話するように、自分の子どもと話してる。
卑屈になる感じも、ピリピリした感じもなく、すごく、あっけらかん。
他の、小さい子を連れたお母さんたちより、サバサバしてる。
ファッショナブルな見た目と、サバサバした感じと、障害のある子ども。
とにかく目を引いたけど、悪目立ちではなく、良い感じで目立ってた。
うまく言えないけど、
「このお母さん、すごいな」
って思った。
その後、そのお母さんとアイスクリーム屋さんで再会した。
私と息子がアイスを持って席を探していたら、
「ここ、空きますよ。どうぞ」
と、テーブルをサッと片付け、席を立って譲ってくれた。
その子どもも、何も言わず、サッと席を立ってくれた。
すごい。
人に親切にするのも、自然。
長身で、美人で、オシャレというだけで、目立つ。
その上、障害のある子どもと一緒で、さらに目立つ。
それなのに、ぜんぜん人の目を気にしてない感じ。
目立つことも、人に親切にすることも、自然。
立ち振る舞いや、ものごとの判断基準が、
他人にあるのではなく、自分にあるという感じ。
サバサバというか、伸びやかというか。
健やかというか、無駄がないというか。
いろんなことに縛られてない感じのお母さんだった。
あのお母さんなら、子どもも大丈夫だろう。
なんかそう思った。
私もあのお母さんのように、人目を気にしない、カラッとした人になりたい。
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