- 『謎の毒親』姫野カオルコ・新潮社文庫
「国家に依存するな、国家を道具として使え」
というのが、著書の主張。
雇われて生きるより、自分でマイクロ法人作ったほうが良いよ、ということが、とても具体的に書いてある。
起業したい人は、手続きや税金のことが勉強になる。
それだけではなく、「やりたいことやって生きていく」人は胡散臭く見られる。けれどその人が、「会社社長」の肩書きを持ってたら、周りの見る目が変わる。
という著作の主張も納得。
さて、私も含め、法人化したいほどやりたいことがある人って、どのくらい日本にいるんだろう。
以下、本文で印象的な言葉。
「年功序列プラス終身雇用制とは原理的にネズミ講」
「発展する都市は同性愛者だけでなく、移民やボヘミアン(芸術家)などを寛容に受け入れ、彼らが生み出す多様性に魅かれて教育水準の高いひとびとが集まってくる」
主人公の客観的な視点と、相談者の第三者の視点のおかげで、毒親を親として小説に昇華してるけど……。
やっぱりこんな親イヤだー!
『昭和の犬』を読んだときも思ったけど、やっぱり著者の実体験だったとは……。
親を毒親と呼ぶことで、自分を責めないで済むのなら、その言葉を使って欲しい。
悲しい過去を無理に忘れないでいいから、楽しいことと分類して欲しい。
悲しい思い出は、時間が捨ててくれる。
その著者のメッセージか優しい。
「一番の財産は自分のアタマ」
迫害を受けてきたユダヤ人の言葉だから重い。
ユダヤ人の家庭で大事にされている、「読書」「コミュニケーション」「ハッピーでいること」「健康」は、子育てにかぎらず、すべての人に大切なことだと思う。
「子どもたちをじっくり観察し、彼らが進みたい方向へちょっとずつ道を敷いていく。
具体的に言えば、
⚫︎子どもたちの冒険を応援し、
⚫︎冒険に参考になるものを与え、
⚫︎障害を取り除いてやる」
という親の役割は、大変参考になった。
西加奈子作品の特徴である、アップダウンの激しさ。
それが今回は小刻みに起こる。
波のように、繰り返し、繰り返し。
マイノリティーや宗教の気配。
先が読めない。
脱税とか、ホステスとか。
相変わらずアウトローなサイバラさんと、そのお友だちのお話が満載でした。
毒のある漫画でありながら、マイノリティーに対する優しさがチラホラ。
サイバラさんの、毒と優しさのギャップに、みんな好きになっちゃうんだろうなぁ。
コメント